◆ 【俳人】 住宅顕信読本 『若さとはこんな淋しい春なのか』
◆ 目次
対談/住宅顕信がやって来る
顕信さんの俳句が見せてくれたもの
佐野史郎、遠慮がちに住宅顕信について語る
明るい住宅。
雨の俳人
顕信という「たたかい」
顕信の一撃
俳句と悲劇
俳句よりも俳句的
欠落と過剰
住宅顕信との出会い
「淋しい」という人
主客の一体化
国境を越える裸の表現
旅する顕信
笑える顕信
「海市」での顕信
顕信さんとのご縁
顕信をめぐる女たち
夭折詩人としての顕信
顕信は生きつづける
◆ 1987年、住宅顕信(すみたくけんしん)という俳人がひっそりこの世を去った。享年25歳。
浄土真宗本願寺派の僧侶だった。10代はリーゼントにサングラス、16歳で年上の女性と同棲。
22歳出家得度、以後、結婚、白血病の発病、離婚、病室での育児に句作と、
普通の人の何倍かの早さと勢いで人生を駆け抜けた。
そんな男の肖像と、ひりひり心ふるわす俳句の詰まった1冊。
サブタイトル「若さとはこんな淋しい春なのか」は、彼の句である。
◆ 種田山頭火や尾崎放哉を師として、5・7・5の定型や季語にしばられない、自由律俳句をつくった。
発病してから逝去までのわずか2年数か月に詠まれた句は281句。そのうちのほんの一端を紹介してみる。
・あさり、うっかり閉じ忘れた口をとじる
・月、静かに氷枕の氷がくずれる
・かあちゃんが言えて母のない子よ
・淋しさは夜の電話の黒い光沢
・許されたシャワーが朝の虹となる
◆ 切りつめた最小限の言葉に、不安におののく心が見え隠れしている。
本書と同時刊行の句集タイトルになった句「ずぶぬれて犬ころ」は、「骨まで/濡れて/一匹の子犬」と仏訳され、
フランスの俳人にも深い共鳴を与えていると、日本放哉学会会員の見目誠は書く。
国境を超え俳句が広がりをみせる現代でもある。本書では、夏石番矢のような俳人だけでなく、
小説家辻仁成、小林恭二、長嶋有、精神科医香山リカ、映画監督石井聰互、俳優佐野史郎、
プロレスラー新崎人生ほか、顕信と親しかった句友や編集者、ジャンルを超えた総勢22名の書き手によって、
顕信の人と俳句の抗いがたい魅力が伝えられる。
ゆかりの品々や幼時からの写真をちりばめた、中村裕編略年譜が秀逸だ。
また、各執筆者が引用した顕信の句が、巻末に50音順に掲載されていて、句集の役割をしているのもうれしい。
- 出版社 : 中央公論新社
- 発売日 : 2002/5/1
- 単行本 : 135ページ
◆ サイズ:縦 21cm
◆ 定価:¥1,800 ※税別
◆ 程度:パラパラと見た程度ですので中は綺麗です。
※中古本と言う事をご理解のうえノークレームにて入札願います。
◆ 送料は、レターパックライトで全国一律 430円 です。