
自宅保管の品です。中身は大変美品ですが古いものですので、表紙など若干の経年変化はございます。保管時の悪さから裏表紙内側の上部に小さな折れがございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
児玉博 堤清二 罪と業 最後の「告白」
第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。月刊「文藝春秋」の連載『堤清二の「肉声」』に大幅に加筆したもので、セゾングループの総帥だった堤清二氏が死の一年前、父・康次郎氏そして弟の義明氏との関係をじっくり振り返った一族の物語です。
清二氏が、著者の児玉さんに10時間以上も語った堤家の物語は、愛憎と確執に満ちた肉親相食む世界でした。大宅賞の選評で、選考委員の後藤正治氏は「インタビューを重ね、その足跡をたどるなかで、入り組んだ内面を宿した人物像を浮き彫りにしている。読み物として読み応えがあった」とし、奥野修司氏は、「筆力、構成力ともに群を抜いている」と評価しました。
康次郎氏は西武グループの礎を築いた実業家であると同時に、強引な手法で「ピストル堤」の異名をとり、異常な好色でも知られていました。清二氏ら七人の兄弟姉妹の母親だけで四人、そのうち二人とは入籍をしませんでした。関係を持った女性はお手伝いから看護士まで相手選ばず、清二氏の母・操さんの姉妹とも関係を持ちそれを操さんも承知していたといいます。その異常な環境で、清二氏・義明氏兄弟は静かな“狂気”を身の内に育まざるをえませんでした。
フォーブス誌の世界長者番付で世界一位に輝いた義明氏と、セゾン文化で一世を風靡した清二氏は、一転して凋落し、軌を一にするように堤家も衰退の一途を辿ります。
西武王国について書かれた本は数多くありますが、清二氏が初めて明かした一族の内幕は、堤家崩壊の歴史であると同時に、悲しい愛と怨念の物語であり、どうしようもない定めに向き合わなければならなかった堤家の人々の壮大な物語です。
児玉 博[コダマ ヒロシ]
内容説明
西武王国を築いた堤康次郎は強欲な実業家であると同時に、異常な好色家でもあった。翻弄される五人の妻、内妻と子どもたち。やがて、清二の弟、義明が父に代わり、暴君として家族の前に立ちふさがる―。人生の最晩年に堤清二の口から語られた言葉は、堤家崩壊の歴史であると同時にどうしようもない定めに向き合わねばならなかった堤家の人たちの物語であり、悲しい怨念と執着と愛の物語だった。2016年大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
目次
第1章 父との約束
第2章 西武王国崩壊の予兆
第3章 母操と妹邦子 その愛と死
第4章 堤康次郎の遺訓
第5章 堕落した父
第6章 独裁者の「血脈」
第7章 清二と義明 宿命の兄弟
レビューより
清二氏による父・康次郎や異母弟・義明氏への評価&批判を著者がインタビューしたもので、非常に興味深く面白い内容だが、至るところに滲み出る清二氏の「義明では無く自分が後継者だったら」「私が西武グループの総帥なら」という、自己評価の高さから来る傲慢さと悔しさによる未練がましさが、この一族の業の深さを物語っており、令和の時代、あれほど栄華を誇った西武王国が跡形もなく消え去った理由が理解できた。
堤家の栄華の裏は、想像すら出来ない家族の運命を生きた人々だった。壮絶な事実に言葉すら失う。