ピアノの弾き語りのスタイルで,ジャズをはじめ幅広い作風と包み込むような優しい歌声で多くのファンを魅了してきたノラ・ジョーンズ,4年ぶりの新作。
ジャンル的には「ジャズ」なんですが,特に夜明け前の深夜を思わせるブルーな曲や,
穏やかで温もりを感じさせる曲など,内省的ではありますが,味わい深い曲が多いアルバムです。
タイトルとは裏腹に冷ややかな表情のピアノと,寂し気なサックスの音色,つぶやくような歌声が内省的な
「Burn」で,アルバムは幕を開けます。静けさの中にも徐々に深みを増していくサウンドは,静かに心の奥で
燃える炎を想起させます。個人的に魅かれたのが,タイトル曲「Day Breaks」と,ホレス・シルヴァーのカバー
「Peace」。「Day Breaks」は,夜明けとともに明るく色づいていく空のように爽やかで夢見心地なメロディーに
,風に乗って空高く舞い上がっていくかのような繊細でキュートな歌声が印象的です。「Peace」は,落ち着いた
雰囲気の優雅なピアノとやさしい歌声のムーディーなバラード。静かな夜に聴きたい曲です。
この他,ジャズ寄りのナンバーなら,アンニュイで思わせぶりな歌声にブルーなメロディーの「It's a Wonderful
Time for Love」,内省的な歌声に物悲しいストリングスの音色も印象的な「Sleeping Wild」もイイですね。
もちろん,ジャズ・ナンバーだけでなく,古き良きサザン・ソウルを想起させるブルージーで心温まるバラード
「Carry On」,ロックぽいノリで疾走する「Flipside」なんて曲もあるのが,ノラ・ジョーンズの魅力。「Tragedy」
は,悲しみさえもやさしく包み込んでくれるような優しい歌声に魅かれます。
エンディング「Fleurette Africaine (African Flower)」は,デューク・エリントンのカバー。静謐なピアノに,寡黙で
淡々と流れるベースラインをバックにしなやかにうねるサックスが幻想的なインスト。何やら冒頭の「Burn」
にもつながる雰囲気に仕上がっています。 誰もが一度聴いただけで飛びつくような華やかさとは対極にあるアルバムですが ,深く心の中に浸透していく…実に味わい深い1枚です。| 1 | Burn |
| 2 | Tragedy |
| 3 | Flipside |
| 4 | It's a Wonderful Time for Love |
| 5 | And Then There Was You |
| 6 | Don't Be Denied |
| 7 | Day Breaks |
| 8 | Peace |
| 9 | Once I Had a Laugh |
| 10 | Sleeping Wild |
| 11 | Carry on |
| 12 | Fleurette Africaine (African Flower) |