西郷輝彦・渡瀬恒彦ダブル主演による「影の軍団 服部半蔵」(1980年 東映)の劇場パンフレットです。
「影の軍団」というと千葉真一主演のテレビシリーズがお馴染みという方も多いでしょうが、本作はその元となった映画版。
同じ企画からスタートした兄弟作品にもかかわらず、映画とテレビでは設定も作風もまったく異なってしまったという、言わば両者は「片親の違う兄弟」みたいな関係となりました。
監督は、「十三人の刺客」によって集団抗争時代劇を作り出した巨匠・工藤栄一。
ラグビーをモチーフにした忍者アクション、乱歩か横溝か、石膏像の中から人間が姿を現すおどろおどろしいケレン味。
ハードストーリーとJAC のアクションで人気を集めたテレビ版ほど社会現象にはならなかったものの、映画版は映画版でカルト的な評価の高い一作です。
(出品者にとっては「クドカン」といえば宮藤官九郎ではなく、工藤栄一監督だわな、やっぱ)。
近ごろ角川春樹さんの集大成本が刊行されましたが、その中で「是非角川映画を撮ってもらいたかった最後の監督」として、工藤栄一監督がリスペクトされていました。
当時飛ぶ鳥落とす勢いの角川映画で、工藤栄一監督で、千葉真一とJAC で、さらに松田優作なんかも友情出演なんかしていたりしたら、きっと本作は日本映画史に残るヒットになっていたでしょう。
ジャンル的には本作は「柳生一族の陰謀」に始まるネオ時代劇の系譜に入ります。
肝心の千葉真一の出演が叶わず、西郷・渡瀬にプラス緒形拳の顔ぶれとなりました。
80年代後半にテレビドラマでブレイクする三浦洋一さんも出演しています。
この御四方も、キャスト・スタッフの多くも、そして工藤栄一も千葉真一もみな鬼籍に入られたことに寂寞の思いを禁じえないまま、本パンフレットを見返すこととなるでしょう。
残念ながら本パンフレットには工藤監督のミニエッセイが掲載されているものの、キャストインタビュー記事はありません(先日亡くなられた西郷輝彦さんを歌手ではなく、時代劇スターとして認識している人には淋しいかぎりです)。
工藤監督への評論家筋の賛美記事が中心です。
ところで映画とテレビの「影の軍団」は結果として別作品となってしまいましたが、西郷輝彦さんはテレビ第1シリーズで、軍団の参謀・津々見京之介役でセミレギュラー出演。
また工藤監督も第3話「悪魔が呼んだ奥州路」でメガホンを取るなど、決して無縁関係になってしまったわけではありません。
この辺りはいかにも東映京都らしいアバウトさと言えるでしょう。