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ヤマザキマリ著、「100分de名著 『安部公房； 砂の女』」です（NHK出版2022年6月刊）。状態は未使用に近く、非常に良好です。送料は、クリックポストで185円です。

★内容：　安部公房「砂の女」は、戦後文学の最高傑作の一つとも称される作品。世界20数か国で翻訳、戯曲化や映画化も果たし、今も国内外で数多くの作家や研究者、クリエイターたちが言及し続けるなど、現代の私たちに「人間を縛る生の条件とは何か」、「自由とは何か」を問い続けている。　舞台は、とある海岸に近い砂丘の穴の中に埋もれかかった一軒家。休暇を利用して新種のハンミョウを採取すべく昆虫採集に出かけた学校教師・仁木順平は、女が一人で住むこの家に一夜の宿を借りることに。ところが翌朝外界へ出るための縄梯子が何者かによって取り外されていた。彼は、村人たちによって砂を掻き出す作業員として幽閉されたのである。その後、さまざまな方法で脱出や抵抗を試みるも、ことごとく挫折。やがて彼はその環境に順応し始めるのだった・・・。果たして砂の穴に閉じ込められた仁木の運命は？

　漫画家・文筆家のヤマザキマリによれば、この小説には、過酷な現実から逃れようともがく主人公の模索を通して、絶えず自由を求めながらも不自由さに陥ってしまう私たち人間の問題が描かれているという。それだけではない。安部が戦後社会の中で苦渋をもって見つめざるを得なかった「自由という言葉のまやかし」が「砂の女」という作品に照らし出されるようにみえてくる。この作品は、私たちにとって「本当の自由とは何か」を深く見つめるための大きなヒントを与えてくれるのである。パンデミックによって、移動や交流の自由が著しく制限されている私たち現代人にも示唆することが多い。画学生時代から安部作品を愛読してきたヤマザキマリとともに、代表作「砂の女」に安部がこめたものを現代視点から読み解き、「私たち人間が逃れようのない生の条件」や「自由の問題」「不条理ともいえる社会の中で人はどう生きればよいか」といった普遍的な問題について考える。

★著者、ヤマザキマリは1967年、東京生まれ。漫画家、文筆家、東京造形大学客員教授。17歳のときにイタリアに渡り、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で油絵と美術史を専攻。エジプト、シリア、ポルトガル、米国を経て各地で活動したのち、現在はイタリアと日本を拠点に置く。1997年より漫画家として活動開始、2010年『テルマエ・ロマエ』でマンガ大賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。ほかの主な漫画作品に『スティーブ・ジョブズ』、『プリニウス』など。エッセイに『ヴィオラ母さん ― 私を育てた破天荒な母・リョウコ』、『国境のない生き方 ― 私をつくった本と旅』、『たちどまって考える』など多数。2022年に安部公房の作品論『壁とともに生きる　―　わたしと「安部公房」』を発表。2015年に芸術選奨新人賞、2019年には日本の漫画家として初めてイタリア共和国星勲章・コメンダトーレを受章。趣味は昆虫採集・飼育、南米文学と南米音楽、温泉巡り。

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