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中古です。
レンタル落ちではありません。再生確認済みです。
新品で購入し、2,3回再生しただけの美品です。
紙ジャケット、盤面ともにきれいです。
CDが直接紙ジャケットに直接入っているタイプでしたので、不織布の袋に入れて挟んで発送します。取り出すときに落とさないようにご留意ください。
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アート・ランジ氏(2008年7月、シカゴにて執筆)
ジョン・ケージ:ソナタとインターリュード
演奏:ジェームズ・テニー(ピアノ)
1. 二人の作曲家の対話
ある作曲家の傑作を、別の重要な、かつ独自のスタイルを持つ作曲家の感性を通して体験できることは、極めて稀で価値のあることです。ジェームズ・テニー(19342006)は、アイヴズやシュトックハウゼンといった過去の巨匠から、ライヒやグラスのような現代の作曲家まで幅広く深く関わってきましたが、ジョン・ケージに対しては、彼自身が認める特別な恩義がありました。
1951年、当時16歳だったテニーは、デンバーでケージ自身が演奏する『ソナタとインターリュード』を聴き、科学・工学への関心と音響学・美学を融合させる道へと導かれました。テニーが自身のキャリアの終盤に、このケージの緻密で急進的なスコアに戻ってきたことは、一つの円環を閉じるような、深い意味を持つ出来事です。
2. 作品の背景と「プリペアド・ピアノ」
1946年から48年にかけて作曲されたこの作品は、ケージが伝統的な音楽的意味を探求していた時期の終着点と言えます。
起源: ケージは「プリペアド・ピアノ」(ピアノの弦にゴムやネジなどを挟み、音色を変える手法)を自身で発明したわけではありません。恩師ヘンリー・カウエルの手法を拡張したものです。
実利的な理由: 当初はダンス作品の伴奏を依頼された際、オーケストラを入れる予算やスペースがなかったため、一台のピアノで打楽器のような多彩な音を出す必要に迫られて開発されました。
東洋思想の影響: この作品はインドの美学における「8つの永続的な感情」(怒り、歓喜、恐怖、哀しみ、エロス、勇気、嫌悪、驚き)と、それらが向かう「静寂(トランキリティ)」に呼応しています。
3. テニーによる独自の解釈
テニーの演奏が他のピアニストと決定的に異なる点は、「数学的なリズムの持続」と「複雑な音の周波数」の関係に徹底的に集中していることです。
客観性: 感情的な解釈やエキゾチックな雰囲気を排し、速めのテンポを採用することで、音楽に「客観的な透明感」を与えています。
音のアイデンティティ: プリペアド・ピアノは、使用するネジやボルトの種類、ピアノの個体差によって音が全く変わってしまいます。そのため、ケージが意図した「正確な音色」を再現することは不可能です。
テニーの選択: テニーはケージの指定図を参考にしつつ、自身の耳で音を選び抜きました。その結果、金属的な響きの虹、正確で測定されたリズム、そして「ピンという音にドンという鈍い音が重なる」ような、新しいタイプの叙情性が生まれています。
結論
ケージは後に「不確定性」へと向かい、数学的な関係性を否定するようになりますが、テニーはこの作品に潜む数学的なインスピレーションを掘り下げました。このアルバムは、歴史的な遺産としての作品に、テニーというもう一人の巨匠が新たな視点(パースペクティブ)を提示した、貴重な記録です。