【基本情報|Release Information】
レーベル:DAM(第一家電オーディオ・メンバーズ)
品番:DOR-0040
フォーマット:12" LP, 45RPM, Stereo, Heavyweight
国:Japan
リリース年:1978年
タグ:Jazz, Swing, Japan, High Fidelity, Studio Work, Audio Culture
【構造と文脈|Structure & Context】
Duke Aces『76/45』は、第一家電による企画「マニアを追い越せ!大作戦」のために東芝EMIと共同制作された、制度と身体、装置と空間の交差点に出現した録音物です。高忠実度の音響再生を目的としたこの盤は、76cm/secで走るマスターテープの磁性体に焼きつけられた声と時間の軌跡を、45RPM重量盤として反復可能な物質へと変換したものです。
収録は東芝EMI第一スタジオ。一般的な音楽録音のように伴奏と歌唱を分離せず、演奏とハーモニーを同一空間・同一時間軸で呼吸させる同時録音方式が採られています。これは声を空間に配置するというより、声そのものが空間の起伏として現れるような、奇妙に有機的な録音体験を生み出します。
「Dry Bones」では、男声合唱の骨格が空間に剥き出しとなり、軽快さと緊張感が声の間隙をなぞる空気振動として再生される。無伴奏で歌われる「In the Evening by the Moonlight」は、ハーモニーというよりもむしろ沈黙の輪郭を測るための呼吸のように響きます。音があるのではなく、音が生まれる前の場所が録音されているかのようです。
「Greensleeves」では、霧のような倍音がジャケットを染み抜くように滲み、古い旋律が湿度をまとって空間の片隅から立ち上がる。琴が導入される「女ひとり」は、西洋的アレンジ構造の中に異なる時間の裂け目を差し込むための装置として配置されており、録音物に刻まれた複数の文化的層位がにじみ合います。
Duke Acesの声は、ここでは楽曲を語るのではなく、聴取環境そのものを撓ませるための媒質として響いています。再生されるたび、音は制度に寄り添うように現れ、そして制度をかすかに逸脱してゆく。これは単なるチェックレコードではなく、声のための建築物であり、装置の中で生まれる気配そのものの記録です。
録音とは、もはや単なる時間の保存ではなく、湿度・距離・名状しがたい密度の再配置である。『76/45』は、そのような再配置がどこまで制度の中で可能かを問う、聴くことの輪郭を曖昧にするための試みであったのかもしれません。
【状態詳細|Condition Overview】
メディア:NM(非常に良好)
ジャケット:VG+(RW、スレなどの経年変化)
付属品:解説インサート付属
【支払と配送|Payment & Shipping】
発送:匿名配送(おてがる配送ゆうパック80サイズ)
支払:!かんたん決済(落札後5日以内)
注意事項:中古盤の特性上、微細なスレや経年変化にご理解ある方のみご入札ください。完璧な状態をお求めの方はご遠慮ください。重大な破損を除き、ノークレーム・ノーリターンにてお願いいたします。