かのJon Astley(かのLed Zeppelin大傑作3rd”Led ZeppelinⅢ”でのアシスタント・エンジニア、後にLed Zeppelin”BBC Live”制作等に携わる)となります。
現在主流で情報量重視で知られる「フラットマスタリング方式」の感がございますが、非常にアナログ感や躍動感、解像度の良さがあり良心的な音質となっております。
内容は言わずもがな。
ラインナップは全盛期名手揃い。
Jack Blades(Vo/B ex-Rubicon、Stereo 後にDamn Yankees)、Kelly Keagy(Vo/Ds ex-Stereo、後にKing of Hearts他)、
Brad Gillis(G/Vo、ex-Rubicon、Stereo、Ozzy Osbourne)、Jeff Watson(G/Key、後にLone Rangerプロジェクト、Mothers Army他)、
Alan ”Fitz”gerald(Key/Vo、ex-Montrose、Gamma、後にAlliance(Sammy Hagar Band絡み)、
Van Halen/Bruce Springsteen & E-Street Band キーボード・テクニシャン他)となります。
なお、かの「(You Can Still) Rock in America」にはかのGlenn Hughes(ex-Trapeze、Deep Purple、Hughes/Thrall、現Black Country Communion)が
バックコーラスで参加の模様でございます。
これだけ注目を浴び、成功を収めた割にはフォロワーがいないという不思議なバンド。
メンバー全員が芸達者、それを生かした演奏・アンサンブルに楽曲というところがミソでございますが..............................
それもその筈、そもそもキャリアが異色。
「Sly & The Family Stoneにウエスト・コースト・サウンドを加えたかの様な」と評された、
かの伝説の「California JamⅡ」にも出演したファンク系名ロックバンド「Rubicon」出身というメインで作曲を行うJack BladesやBrad Gillis。
12弦アコースティックギターをハイテク感巧みに操り、フュージョン系の正確な演奏力を持つJeff Watson。
アメリカンHR/HMの草分けとして知られ、BritishHM系バンド等にも奉られた伝説の「Montrose」出身。
メジャーか?ローカルか?というアメリカンHR/HMの極端な格差社会時代に中堅として孤軍奮闘した
元同僚のSammy Hagar Bandにも在籍したというキャリアを持つものの、
何故か?当時の「ブラコン系」的な演奏や音造りをする(今作が顕著)Alan ”Fitz”gerald。
そしてかのRubicon解散後のJack Blades/Brad Gillisと「Stereo」というHRバンドを組みNight Rangerに発展するものの、
明らかにジャズやジャズ系名演奏者の影響を強く受けた「歌う手数系名ドラマー」(←非常に珍しい)のKelly Keagy。
....................................真面な訳が無い!
メインの作曲はJack Bladesではございますが、メロディアスとは言えどアメリカンHR/HMの系のそれではなく、明らかにポピュラー系のもの。
(後々のStyxのTommy Shaw(Damn Yankees同僚)とのプロジェクトからも伺えますが.........)
その分野外のポピュラーさを持つ楽曲にハードさを加え、
芸達者なメンバーの巧みな演奏・アンサンブルを練り込んだ音楽性はHR/HMにおいても非常に稀有なものではなかろうかと存じます。
Brad Gillis/Jeff Watsonのハード/テクニカルなツインギター・コンビネーションの巧みさが当時は売りでございましたが、
楽曲にスケール感や躍動感・立体感を作り出すKelly Keagyのドラミングも見事なもの。
(ハイハット、タムやシンバル捌きにも注目でございます)
一見HR/HM系に見えるものの、所々で(当時のポピュラー系)ブラコン感覚が演奏や音造りにも伺えるAlan ”Fitz”geraldの味付けも興味深い所でございます。
(ピアノ捌きも..........)
ハード/へヴィ面と分野外のポピュラーさの絶妙なバランスがNight Rangerの音楽性の確立を呼んだ感がございます............................
後のDamn Yankeesも同様でございますが....................................
前作はデビュー作。
Brad Gillisが再加入直前までOzzy Osbourne Bandに在籍したという事もあり、
ポピュラー系アメリカンHR/HMとは言えどハード/へヴィ面や楽曲の纏め具合はそれを意識した感がございます。
ここではよりロック色やハードさを強め、ツインギターの巧みさを強く打ち出した楽曲も非常に目立つもの。
アンサンブルも前作に比べ非常にスリリングで巧みな感がございます。
但し、(一聴荒っぽく見えるものの)分野外のポピュラー度も強めており、Rubicon時代のファンクぽさやブラコン的な要素も楽曲によって登場。
(Alan ”Fitz”geraldの貢献も大)
また、HR/HMルーツとは異なる背景を持つバンドの強みを生かした音楽性も非常に興味深いところでございます。
(どうせならJack BladesのRubicon時代に音楽ファンを唸らせた巧みなスラップ捌きも聴かせていただきたかった感がございますが...................)
楽曲毎に使い分けの感のあるJack Blades/Kelly Keagyのツイン・ヴォーカルではございますが、楽曲内での使い分けも登場。
良いアクセントとなっております。
セールスやチャートアクションは前作を上回り絶好調。
多くの代表曲のみならず大ヒット曲も生まれており、バンドの代表作。
現在では最高傑作との呼び声高い作品となり、HR/HMのみならず八十年代を代表するロック作品の一つとして高く評価されるものとなります...............
但し、前作同様この分野外のポピュラーさがレコード会社の目に留まり、大きなセールスおまけに大ヒット曲。
シングルヒット志向の安易なマーケット分析がなされ、したり顔で関係者がバンドに介入する自体を招く事となります。
後に時代が変わりシーンで苦戦する4th以降のバンドの音楽性にも介入。
(Asiaや”Cinema”Yes、Whitesnake等の例がございますが.........................)
大きな影を投げかける事となります.....................
この機会に是非。