| 大日本及び仝属国の郵便切手・上下/本書は日本切手に関する独創的な研究の一大集成でありまして未発表の知識が豊富に盛られております
1972年 上下2冊 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
一序 文一 本書の刊行は,郵趣がその熱愛者たちに呼びおこすことのできる,あの驚くべき熱中に大い に答するところがありましょう。著者の語るところによりますと,彼は40数年間も日本切手を 収集していまして、11年もかけて,この魅惑的な国の郵便局と,その本国及び属領発行の切手 の歴史の編さんに従事してきました。この事をなすにあたりまして,彼は5回に及ぶ世界周遊 のに与えられたすべての機会を利用しまして,さまざまな地方の郵趣家たちの所有する切手 の主要なコレクションを必ず調査してまいりました。その1事を以てしても、彼がこの企てに 真の愛情を注いだことが雄弁に物語られております。
日本の初期切手が,世界の切手のうちで最も魅力あるものの1つとされているのは当然のこ しです。と申しますのは,真の郵趣の徒が,収集する切手の国とか国のグループを選ぶ場合に 追求する興味のすべての要素が,日本切手には備わっているからであります。そのおもな理由 は2つあって,その第1は,それらの切手がこの国自身の手で発行され,その図案が日本芸術 の特色を示していることであります。第2には,1871(明治4)年から1876(明治9)年3月まで の初期切手は、すべて手彫りの実用版で印刷されましたので,各版の単片が1枚1枚わずかな がら相違のあること,その上,同種同額面の版がなん面も彫られていたために,それらの実用 版に彫版者がおかした奇妙なエラーや修正の実例がたくさん含まれていたことであります。
切手の印刷に使用された原版の総数についての公式記録が保存されていませんので,この問 題の研究とエラー及び修正の調査は、収集家が試みることのできる、最も困難ではありますが, 最も魅力的な仕事の1つであります。今日に到りましても,収集家たちのあらゆる探究にもか かわらず,原版の正確な枚数は確認されておりません。原版の多くはその切手の完全シートが 未だ発見されておらず,切手の単片やブロックの存在で,それらの原版がかつてあったことを わからせているにすぎないのであります。低額切手の原版が多数あることは,わずか40枚しか 含まれない小さな銅版に,切手が彫刻されたという事実のためでした。低額切手の需用は大き かったわけでありますから,それぞれ別に印刷するために,原版が1枚以上必要だったわけで したし、原版はすぐに磨滅してしまい,交換しなければなりませんでした。
それらの切手については,多数の論文が郵趣誌に発表されていますし,それらの切手の価格 表も切手商のカタログにのっています。日本政府は1896(明治29)年に標準的な図案の実物見本 を貼った切手史『大日本切手沿革誌』を発表しましたが,収集家の見地から書かれた単独論文 は,今日まで1つも出ていません。多くの郵趣家は日本切手に関する権威ある著作の必要性を 痛感しておりましたから,この専門論文は温かく迎えられるでありましょうし、その内容が皆 さまを失望させることはありますまい。本書は日本切手に関する独創的な研究の一大集成であ りまして、未発表の知識が豊富に盛られております。原版に発見された彫刻のエラーの詳細な リストはまったく新規なもので,収集家に大いに役立つことでしょう。1910(明治43)年に F. J. ペプロウ Peplow 氏が私家版で刊行された原版から印刷された完全シートの図版は全部本書 に再録してありますし、若干の追加もされています。そのほかに非常に興味をそそるような図 版が多数加えられています。概括して申せば、この著作は,今までに刊行された郵趣文献のう ちで,最もぜいたくで,最も重要なものの1つとして認められましょう。
収集家たるものは,著者がこの著作の編さんに,非常な長月日にわたって,おしみなく費や した時間に対してだけでなく,みずから負担された多額の出版費用についても、深く感謝すべ きでありましょう。と申しますのも,たとえ発行部数の 100 冊が全部購読予約されたとしまし ても、著者はまだ数百ポンドを自分のポケットから出すことになるでありましょうから。 E. D. ベーコン
お探しの方、お好きな方いかがでしょうか。
中古品ですので経年のシミや黄ばみはあります。外箱小傷、小汚れ、やややけ。ご理解の上、ご入札ください。
もちろん読む分には問題ありません。293262S |